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暮らしを楽しむ人とタオルvol10

暮らしを楽しむ 人とタオル|#010 伊勢春日さん(VOILLD ギャラリーディレクター・キュレーター)

 

#人とタオル #INTERVIEW #特集 #読み物

 

伊織の活動を通じて出会った人たちや、私たちが「会いたい」と思った方々に、タオルを持って会いに行くインタビュー企画。

第10回は東京・中目黒のギャラリー「VOILLD」でギャラリーディレクター・キュレーターを務める伊勢春日さん。実は数年前から「伊織」のタオルのファンで、個人的に愛用していると言います。そんな伊勢さんに今回は仕事のこと、暮らしのこと、日常のもの選びやタオルについての思いをうかがいました。

暮らしを楽しむ 人とタオル

#010 伊勢春日さん VOILLD ギャラリーディレクター・キュレーター

インタビュー・テキスト:清水淳子/撮影:森川誠治

形を変えて続くアートとの関係性

− 伊勢さんの経歴を簡単に教えていただけますか。

東京の五反田育ち。中高は美術大学の付属の学校に通い、その後、専門学校に行きましたが、1年半ほどロンドンに留学し、22歳ごろに日本に戻ってきました。幼い頃から絵を描くことが好きだったので、母に薦められて美術の学校に進学しましたが、授業では当たり前ですがめちゃくちゃ絵を描かされるんですね。周りの同級生を見ると本当にレベルが違うな、というすごい子たちでいっぱいで。早々に自分で描くことが嫌になったんですが、アートを見るのはずっと好きだったんです。そういう意味では、無駄なことはなくて全部今につながっていると思うんですけどね。

− 留学から戻ってきてからは何をされていたんでしょう。

今はないのですが、目黒のデザインホテル「CLASKA」で働いていたことがありました。その後、「GASBOOK」というアートブックを出版している会社にインターンで入ることになり、そこでいろんなアーティストさんと関わらせていただくことができました。当時は26、7歳でそろそろ自分のことをちゃんとしたいなと思っていたタイミングで知人から「中目黒にスペースがあるから、何かやってくれる人いないかな」という声掛けがあり、やってみたいな、と手を挙げたのが「VOILLD」の始まりです。

− アーティストの選定などはすべて伊勢さんの采配で?

そうですね。何も分からないまま2014年にアートギャラリーを立ち上げ、雇われオーナー的な立場で何をやるかすべて自分で決めて運営もやりました。今もやっていることは変わらないけれど、当時はバイトの雇用の仕方も分からなくて店番から何もかも一人でやっていました。

− アーティストとの繋がりはどのように築いてきましたか?

ギャラリーを始めた8年前は今ほどSNSも盛んではなかったので、展覧会を調べてとにかく気になる作家さんに会いに行っていました。今も長くお付き合いのある作家さんは、そうやって出会った方たちがほとんどですね。今もそのクセが抜けなくて、メールだけじゃ分からないことも多いから、できるだけお会いして、作品を見せてもらって人間性も含めてお互いに分かりあうということを繰り返しています。家族とはまた違った形で、親密だけどいい距離感をもてる関係性。私はどちらかというと寄り添いたいタイプなんですよね。

アートをより身近なものへ

− ご自宅には、加賀美健氏のドローイングや、片岡メリヤス氏のぬいぐるみ、magmaの照明など、伊勢さんのギャラリーに登場される作家さんの作品で溢れています。

もらったものや、感覚的に好きなものを身の回りに置いています。人間関係においてもそうですが、好きなものや好きな人に囲まれていると日々、頑張れるじゃないですか。最近はお部屋づくりに関しても、お部屋を素敵にしつつそこに作品があってもいいよね、という感覚の人が増えてきているんじゃないかと感じます。

− 私たちが子どもの頃はアート作品は美術館などで見るもので、自分が手に取ったり買ったりするものだという意識があまりなかったと思うんです。伊勢さんは、アートをもっと身近なものとして提示してくれるというか。

それは、「VOILLD」立ち上げの時からめちゃくちゃ意識していました。クオリティは保ちつつ、買えるものを売りたいとずっと思いながらやっています。ただただ規模を大きくして高額な作品を売りたいというのではなく、一般の人の手に届くような作品もあるんだよと知ってもらうことで、例えば若い子たちにも手に取ってもらったり、今は買えなくても5年10年して買えるようになったり、そういうきっかけになってくれたら嬉しいと思っています。

− 理解ができて、かつ買えるっていうのがいいですね。

気軽に買えるギャラリーってあまりないじゃないですか。例えば、今ギャラリーで展示してくださっている作家さんの人気が上がりに上がって、作品がなかなか手に届かないほど高額になったとしても、ポスターとか小さい作品とか絶対に買えるものは作っていきたいと思っています。自分が若い時にそれがあったらよかったな、と思っているから。

− 今はアートバブルとも言われていて、投資としてのアートも注目されていますが……。

欲しい人の手元に作品がちゃんと届くというのが理想ですよね。何十年も買った人が大事にしてくれる、それがギャラリーにとっても作家にとっても、お客さんにとっても一番幸せな形。私は純粋にめちゃくちゃ好きな作家さんとしかお仕事をしていないので、自分が好きだから頑張れるし、もし失敗したとしても諦めがつくんですよね。

心地よく暮らす日々へのまなざし

− タオルの話へ移りますが、伊勢さんは以前から「伊織」のタオルをご愛用だとか。

3年前に今の家に引っ越したタイミングでタオルを買い替えようと思い、「waffle(ワッフル)」を使い始めたのがきっかけです。松山店で出会って気になって買ったら、使い心地が良すぎてバスタオルのみならず、台所もトイレのタオルも「waffle」にしました。長く使っても汚れが気にならないし、吸水性もいい。肌にベタっとつかないところと、見た目が個人的に好みです。

− それほどのヘビーユーザーだとは(笑)。

みんなもっと「waffle」の良さを知った方がいいですね。乾くのが本当に早いんですよ。キッチンのタオルって、料理をしている時は何度も手を拭くから使う頻度が高いんですよね。乾きが早いからキッチンにめちゃくちゃ向いてると思うんです。びしゃびしゃにならない。今回、3年ものの「waffle」と新品の「waffle」を改めて使い比べてみたのですが、柔らかさや多少のくたびれ感はあっても、大きく遜色がないんですよね。生地の良さはもちろん、扱い方、洗濯方法など工夫すれば長く使えるのが素晴らしいし、くたびれても足拭きやペット用など汎用性はいくらでもあると思うんです。

ここからは余談なんですけど、「伊織」さんに作ってもらいたいものがあって。ランチョンマットを作ってほしいんですよ。インテリア好きな人と話をしていて、かわいいのがないねってよく聞くんです。めちゃくちゃ探すけどないんです。コットン生地だけどシャリ感のあるランチョンマットを昔、どこかで買ってそれを愛用しているんですけど、ありそうでない。

− その発想はまったくなかったです。

ナイロン生地とかはよくあるんですが、コットンで適度に吸水してくれるっていうのがポイントで、コップを置いてもいいし、なんなら少し手を拭ってもいいぐらいのもの。あっても生地が硬くて洗いにくいものが多いので。

− ありがとうございます、企画までいただいちゃって(笑)。

あと、愛用ついでにですが、友人が出産ラッシュなので、プレゼントには「伊織」のスタイとぬいぐるみ、あとママも使えるようなタオルを定番としてプレゼントしています。トリコロールシリーズなんですけど、これはジェンダーレスで性別を問わず喜んでいただけます。お母さんも子どもも愛用してくれているって聞くので、必須ですね。

− 伊勢さんには今回さらに新しいタオルをお試しいただいたのですが「cotan(コタン)」はいかがでしたか?

触感として、しっとり吸い付き系ですね。ボリュームがあって、ふんわり包まれるのが好きな人にはいいと思いました。あと、赤ちゃんがいるご家庭とか。落ち着きのある色合いですし秋や冬に体を拭いたり、あと、枕にするのもいいかもしれません。私は柔軟剤を使わずに洗っていますが、申し分なく洗い上がりはふわふわになります。

− もうひとつお試しいただいたのは「non-pile(ノンパイル)」ですね。

シャリシャリして、夏場とても肌あたりが気持ちよかったです。肩にかけて使ったり、吸水性もあり、軽くて手ぬぐいやハンカチのようにラフに使えるのも魅力です。

みなさん、たかがタオルと思うかもしれませんがされどタオルですよね。用途によって使い分けたり、生地によって洗い方を変えるのは当然のこと。丁寧に接していかないと。それは作品についてもそうですよ(笑)。

− タオルと仕事が繋るんですね(笑)。

コロナ禍で健康オタクのようになり、生活を見直すきっかけができたことで色々と学びがありました。1日のうちでタオルと触れ合う時間ってそんなに多くないかもしれませんが、そのわずかな時間の心地よさが生活のクオリティを爆上がりさせてくれるんです。

− ちなみに、リニューアルされた道後の「伊織本店」にも足を運んでいただきましたが、いかがでした?

広くて新しくて、絶対に買いたくなる感じでファンとしてはたまらないですね。肌触りとか良さがイマイチわからない人も多いでしょうが、店舗に行くといろんなタオルを触って比べられるでしょう。私は実際に使って良さを知っているからギフトにも選べるし、お土産にハンドタオルもよく買います。「今治タオル」って言葉を知っていても、そこまで良さを知らないし、使っていない人もいるだろうけど、一回使ったら分かるからって言いたい(笑)。プレゼントをした友人が「今治タオル」にハマったっていうこともありましたから。道後に行けば、好みの肌触りやデザインも見つかるだろうから、エンタメとして訪れるのもおすすめですね。

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実際に自分で使った良さを友人知人にも知ってもらいたいと、ギフトにもよく選んでくれている伊勢さん。

長く、その質感や良さを保って使用したいと洗濯方法にもこだわり、縦型洗濯機でじゃぶじゃぶ洗い、天日干しをしているそう。泥や油などしつこい汚れ以外ではマグネシウム洗濯をし、体にも環境にも良いライフスタイルを貫いています。

日々を心地よく暮らすため、情報を集めて自分に合う方法を試してみる。日常の愛おしさを感じる心構えに、学ぶべきことが多いと感じさせられました。

(2022年9月取材)


=プロフィール=

伊勢春日(VOILLD ギャラリーディレクター・キュレーター)

中目黒のアートギャラリー 「VOILLD」のディレクター・キュレーター。企画展やアートイベントの開催、「ラフォーレ原宿」の広告などプロデュース業も行うなど活動は多岐にわたる。現代美術を日常に取り込む楽しみを提案し続けている。

VOILLD オフィシャルサイト
https://www.voilld.com/


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