伊織の活動を通じて出会った人たちや、私たちが「会いたい」と思った方々に、タオルを持って会いに行くインタビュー企画。
第12回は愛媛県松山市の離島、興居島(ごごしま)でクラフトビールづくりをしている「gogoshima beer farm」の南雲信希さんご家族(妻:阿矢さん、長女:夏雨ちゃん、次女:青波ちゃん)に登場いただきます。関東で約20年もの飲食業経験を積み、2022年に神奈川から興居島へ家族で移住。島暮らしの魅力、生活の中で大切にしていること、地元の産品を生かしたビールづくりのこと、そして子育てを始めてからより興味をもったというタオルのことについて話をうかがいました。
暮らしを楽しむ 人とタオル
#012 南雲信希さん gogoshima beer farm
インタビュー・テキスト:清水淳子/撮影:森川誠治
いつかは島暮らしを
− 興居島とのご縁、こちらへ移住するきっかけは?
親戚の家が瀬戸内にあったので、子どものころによく遊びに行っていたこともあり、島暮らしや瀬戸内の穏やかな風景が見える場所へ移住したいなというのが、ずっと心の中にありました。当初は親戚のいる香川県の離島をイメージしていたので、そのあたりのエリアについて何年も情報収集をしていたのですが、たまたま関東で開催されていた「移住フェア」で愛媛のブースに立ち寄った際に、「近年移住者も増えて、アクセスもいいですよ」と、担当の方に移住先の候補地として興居島をおすすめされて初めてこの島のことを知りました。
子ども(長女)が小学校に上がる前まで、「2025年か26年ごろには島へ移住できていたらいいなぁ」と、ゆったり構えていたら新型コロナウイルス感染症が流行して、当時経営していた飲食店がほぼ営業できない状態になってしまって……。
お店が開けられないし、そこでお客さんを待っているだけでは経営が成り立たない。しばらく続くであろうコロナのリスクを避けた商いを、という中で憧れていたクラフトビール醸造の夢が少しずつリアルになってきました。
− 新型コロナウイルスの流行が、くしくも移住を早めるきっかけとなったんですね。
そうですね。その時期特に家族との時間についても考えさせられました。飲食店を経営していた時は朝から夜まで忙しく、仕事に追われていました。これからはもっと家族と過ごす時間をとりたい、ライフスタイルを変えたいと思うようになっていきました。
以前から「空家バンク」などのサイトを見ながら瀬戸内地域の離島情報をチェックしていましたが、2020年頃からいよいよ本気になって動くようになりましたね。「古民家でビールをつくりながら料理を提供できる店をしたい」と、目ぼしい物件について問い合わせたら、担当の方が僕が問い合わせた物件ではなく、サイトにはまだのせていない物件だけど、とてもいいところがあるからと、今の場所を紹介してくださいました。
すぐに写真をたくさん送ってくださって。図面をみた瞬間にお店のイメージが広がって、すぐに物件を見に行きました。およそ築150年の古民家で、江戸時代の貿易商だった方が立派なお屋敷をつくられて、それを前のオーナーさんが大切に受け継がれているのがはっきり分かりました。港からのアクセスもよく、庭も広く隣には神社がある、とてもいい気が流れている場所でした。この場所に出会ったから移住を決めた、と言っても過言ではありません。
憧れのクラフトビールに挑戦
− 実際に訪れてみて、島の印象はいかがでしたか。
興居島は松山市の高浜港からフェリーで約10~15分ほど。デパートのある松山市内へも1時間弱で到着するアクセスの良い島なんです。ちょうど移住先を探している時に、島に移住者が増えたりワーケーションが始まったり、そこでいろんなプロジェクトが動き出していると聞いて、地元の方もウェルカムなところなんだな、と思いました。
− そもそもの話ですが、なぜビールづくりをやりたいと思ったのでしょう。
ずっと飲食店側として、生産者さんとやりとりをして素材を仕入れて調理や提供をしていましたが、自分には”生産者側になりたいという気持ち”がずっとあったということに気づいたんです。これは最近やっと言語化ができた気持ちなのですが、生産者側へのリスペクトや憧れを越えて、自分もそちら側へ行きたいなと。
あともう一つ、僕は”自分を必要としてくれる場所に行きたい”という思いがありました。既に誰かがやっていることを同じ場所でやってもあまり意味がない。島でクラフトビールというのは魅力的だなと、前々から思っていたことを形にしていきました。
− しかしビールをつくりたいと言っても、場所や設備や資金などハードルが高いのでは?
僕もまったくわからない状態からスタートしたのですが、ビールづくりが学べる学校や資格試験があるわけではないので、知識や技術といったことはもちろんですが、ちゃんとした品質のものを出したいのであれば、ある程度以上の設備は必要です。移住して半年後、2022年の夏前ごろに松山市のビール醸造所、「DD4D BREWING & CLOTHING STORE」(https://japandemic.co.jp/)さんとご縁があり、ビール修行の申し出を受けてくださいました。
最初から思い描いていたのは、地元の素材を使った島で飲むのに合うビール。爽やかでアルコール度数もそこまで高くない、食事と合わせても飲みやすいものを提供したいと思っています。柑橘やお米、小麦、島にある焙煎所のコーヒー豆など。地域で加工されたものや規格外になったものを使って、オリジナルで循環型のものづくりをやっていきたいです。また、季節の野菜を使ったサラダや愛媛県産の天然真鯛を使ったフィッシュ&チップスなどビールに合う軽食も提供しています。
週末は島の外からお客さんがよく来てくれますが、平日は島の方がふらっとお店に立ち寄ってくださることも。ビールを島のお土産として買って行ってくれるのも、とても嬉しいです。
− 2023年3月にクラフトビールとお料理が楽しめる「gogoshima beer farm」をオープンして生活はどのようになりましたか。
1週間のうち金・土・日はお店を開けて、1日は松山市内に買い出しへ。残りの日にはビールの仕込みや様々な業務、住んでいる移住者向け住宅に付いている菜園の世話をしたり、家の用事をしたり。もしかして、関東にいた頃よりも忙しくしているかもしれませんが(笑)、家族や島の人たちとの距離が近くて日々充実しています。
海に近い環境もとてもいいですね。保育園の散歩でも海遊びに連れて行ってくれたり、家族で夕方ふらっと散歩に行ったり。同世代の移住者もいて、同じ時期に子どもが生まれた家族もいて、保育園がこの1年で園児が倍になったそうです。また、みなさん家庭菜園をしているので、野菜やミカンなどを差し入れしてくれたり。島の方もとても優しく接してくれて、その大らかさにとても救われています。
使ってみてわかる、タオルの質の違い
− それではそろそろタオルの話へと移りますが、今までタオル購入の際に気を付けていたり、こだわりはありましたか。
(妻:阿矢さん)子どもが小さいので、できるだけオーガニックコットンの素材がいいな、オーガニックでなくとも化学繊維のものよりは天然繊維のものがいいな、ということです。デザインや色の好みとしては、できるだけシンプルなものや生活に馴染むものが好きですね。
(信希さん)今までさほど気にしていなかったことも、やはり子どもができてから気遣うようになりましたね。肌ざわりとか。
− お洗濯に関してはいかがですか?
(阿矢さん)子どものものは毎日洗うので、肌ざわりはもちろんなのですが、生地が丈夫かどうかも気になります。
(信希さん)見た目にいいなと思うものはあっても、生地が薄いとすぐにダメになってしまう。買った時はいいけれど、使ってみると質の違いがわかります。
(阿矢さん)今回使ってみたミカンの柄のバスタオルがとても良くて! 厚手だから乾きにくいかと思いきや乾きやすいし、丈夫だし吸水力もありました。
− 『mikan(ミカン)』ですね、ありがとうございます。こちらは伊織オリジナルタオルの中でも10年以上のロングセラー商品です。
(阿矢さん)雨の日、浴室の乾燥だけでしっかり乾いたので驚きました。梅雨時など、お洗濯が滞る時期にも安心ですね。
(信希さん)あと、夏にはもってこいだと思ったのがガーゼ生地の『cogin(コギン)』のフェイスタオル。肌あたりがいいので、汗をかく農作業や仕事中に首に巻いておくのも気持ちがいいです。
− ガーゼタオルは細かい織柄を表現することが一般的に難しいとされているのですが、程よくしっかり・程よく柔らかな「テキサス綿」を使って、ステッチ柄を細やかに織り上げています。手仕事をコンセプトとした温かみのあるデザインなのでキッチンやテーブルまわりにも馴染みますし、南雲さんのクラフトビールづくりにも寄り添ってくれるように思います。
(阿矢さん)今回試した中で最も柔らかい『IORINO /ふわふわ』は子どもにとても向いていると思いました。夏はプールや海で遊ぶので、案外冷えるんですよね。この柔らかさで思い切り包んであげると嬉しそうでした。
− かなりボリュームがあるように思いますが、実はかなり密度を軽く仕上げているので、乾きやすいという特徴も兼ね備えています。“写真で見てもわかるほどのふわふわ感”、とよく言っていただくのですが、他にはない柔らかさで今、伊織で一番人気の商品でもあります。
(信希さん)しっかり汗を吸って、軽くて機能的でいいなと思ったのが『rim(リム)』浴用タオルです。サウナとかスポーツとかにもぴったりですね。
(阿矢さん)子どもがいるとどうしても荷物が多くなっちゃうので、軽くてかさばらないというのはお出かけ用にも助かります。
(阿矢さん)『IORINO /ながもち』ですが、隙間からキラキラ銀の糸が光っているのが「デザインなのかな?」と思っていましたが、抗菌・防臭の機能があったんですね。
− そうなんです、純銀をポリエステルフィルムで加工した「ミューファン®」という特殊糸を使っていて、抗菌効果が期待できます。パイル同士が擦れ合って摩耗するのを防ぐために、パイルをできるだけ短く粒状に織り上げているのが特徴です。
(信希さん)タフにガシガシ使っても「ながもち」ということですね。ありがたい! 厚みがあまりなくかさばらないのも、家族が多い家庭にはいいかもしれない。
− お渡ししたタオルの使い心地はもちろん、使用シーンまで詳しくお話しいただきありがとうございました。
(信希さん)こちらこそありがとうございました。また島に遊びに来てください!
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これからやってみたいことは「建物内の部屋を改装して民泊を始めること」という南雲さん。自分がやりたいことと、その地で必要とされることのバランスを見極めながら、島の人たちと良い関係を築き、心地よい場所づくりやコミュニティづくりを広げていかれるのだと思います。また、島へ遊びに行くのが楽しみになりました。
(2023年7月取材)
=プロフィール=
南雲信希(なぐものぶき)
神奈川県出身の信希さんと青森県出身の阿矢さん。2022年1月に興居島へ移住。2023年3月にブリュワリーと飲食店が併設された「gogoshima beer farm」をオープン。