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暮らしを楽しむ 人とタオル|#13 河野雅行さん

暮らしを楽しむ 人とタオル|#13 河野雅行さん(Marc Coffee Roasters)

 

#人とタオル #INTERVIEW #特集 #読み物

 

暮らし方、働き方、家族構成などによってタオルの役割も多種多様であることに注目し、さまざまなジャンルで活躍する方に「暮らしとタオル」のテーマでお話を伺う伊織の読み物企画。

第13回は愛媛県松山市で厳選したスペシャリティコーヒーを仕入れ、豆の風味や特性を活かした焙煎をおこなうロースター、かつ店舗はもたず、イベントへの出店や様々な人たちとのコラボレーションなど自由な発想で活動するコーヒースタンド「Marc Coffee Roasters」を主宰する河野雅行さんに会いに行きました。様々な職業を経て、自由な働き方で自分らしさを貫く河野さんの仕事観について、また生活のこだわりや物選び、そしてタオルについてお話を伺いました。

暮らしを楽しむ 人とタオル

#013 河野雅行さん Marc Coffee Roasters

インタビュー・テキスト:清水淳子/撮影:森川誠治

興味のあることをとことん

―河野さんのご出身はどちらですか。

愛媛県の南予地方、宇和島市の出身です。高校まで宇和島で過ごし、進学で松山に出てきました。一旦、就職で松山を離れたこともありますが、またすぐ松山に戻り、もう20年近く松山市に住んでいます。

―コーヒーの仕事を始めたきっかけを教えていただけますか。

コーヒー焙煎所を営んでいる友人が、コーヒーミル・ケトル・サーバーがセットになったドリッパーセットを誕生日にプレゼントしてくれたんです。それまでもコーヒーは好きでしたが、自分でやってみたことはなく、やり始めると豆の焙煎もやってみたいな、どうしたらできるのかなと興味が膨らんできました。

―プレゼントのコーヒーセットから豆の焙煎にまで興味が広がっていくところがすごい。しかも実際に焙煎機まで買ってしまうというところが河野さんらしいです。

気になると、とことん調べてやってみる性格なんでしょうね。

―生豆はどこから手に入れているのですか。

当初はインターネットでいろいろ買ってみて、ものすごく高いものとか、産地の違うものとかたくさん試してみたんです。種類にもよりますが、ブラジルは酸味がなく甘みが引き立つ、アフリカ産は酸味が少しありつつもフルーティな味わい、インドネシアの豆はコクがある濃厚なコーヒー。何度か試しましたが、最近は南米とアフリカのものを選んでいます。

基本的に豆で販売する場合はシングルオリジン。ポップアップやイベントの際は、イベント専用のブレンドを作ることもあります。

―コーヒーの焙煎を仕事としてスタートしたのはいつ頃でしょう。

2015年頃からスタートしました。はじめは友人知人からの声がけでイベントに出店しはじめ、気に入ってくれたお店や会社などから豆を定期的に入れてほしいとお願いをされるようになったり。定期的に出させていただいているイベントは、子ども図書館「ドミンゴ」@domingo_ehimeの日曜新世界(年2回開催)、ショッピングモール「AVA」@ava_matsuyamaのAVA LIFE STOREのポップアップなどです。定期的に豆の販売を行っているのは松山三越の地下にある「THE CENTRAL MARKET」@the_central_marketです。ショップオリジナルでの依頼も増え、道後のワインバー「麻とき」@akayoroshi6.23、そして9月末からはセレクトショップの「POTOMAK」@ppotomakkでも展開することになりました。

自分が使う目線でオーナーがセレクトした古着と、愛媛県内の作家の作品を中心取り扱う愛媛県松山市のショップ「POTOMAK」

今でも、1回500gしか焙煎ができないので納品前やイベント前になると慌ただしくなることもありますが、焙煎前と焙煎後のハンドピックは欠かさず、できるだけ雑味のない味わいで、それぞれ的確なタイミングで飲んでもらえるように心がけています。

縁でつながる新しい仕事の形

―「Marc Coffee Roasters」はデザインロゴからパッケージまで洗練されて、とても素敵ですよね。

焙煎からパッケージのデザイン、封入まですべてひとりでやっています。自分でできることを、できる範囲で……という感じですが、ありがたいことに最近ではショップロゴなどのデザインの仕事の依頼も増え始めています。

―マルチな河野さん! 職歴を教えていただけますか。

15年ほど印刷機器の販売の仕事をおこなっています。この経験で、印刷に関する知識が身についたというのは間違いありません。また、シルクスクリーン印刷を手がける友人の力を借りながら、Tシャツやショッピンバッグにロゴを刷ってもらったり、ショップカード、手ぬぐい、キーホルダーなど、様々なオリジナルグッズを作りました。

デザイン自体は完全に独学です。はじめはライブハウスの自主企画のフライヤーを作らせてくださいと名乗り出たり。今ではヘアサロン、エッセンシャルオイルブランド、パン屋さんやヨガスタジオ、カフェなど様々な業種のロゴやプロダクトのデザインから印刷まで手がけています。印象深かったのは、同級生が監督を務めているJリーグチーム「サガン鳥栖」の監督オリジナルグッズを作らせていただいたことでしょうか。

COFFEE DIVES IN PALE ALE写真

―業種に関わらず、様々な方からのオーダーに応えて素敵なデザインを手がけられていますね。

コラボ商品ですと、「今治街中麦酒」@imabari_machinaka_bakushuという愛媛県今治市のブリュワリーとコラボでクラフトビールのラベルデザインをお手伝いさせていただきました。「Marc Coffee Roasters」の豆を「今治街中麦酒」のペールエールに漬け込んで仕込んだコーヒービールです。

―趣味や自分の好きなこと、また友人知人など人とのつながりから、どんどん仕事の幅が広がっているのがすごいですね。

コーヒーではないですが、ナチュラルワインと美味しいおつまみのイベント、SERVE AND CARVE&MARCも、松山市の会員制バー「BARRAGAN」@barragan_mycで定期開催しています。「SERVE AND CARVE」@serveandcarveと僕とでそれぞれのナチュラルワインのストックから厳選したワインを持ち寄り、料理研究家の のがみさやか さん@nogamisayakaがワインに合うお食事を用意。不定期で様々な飲食店とコラボをしながら、開催しています。

―そういえば、近年は畑も手がけているとか。

コロナ禍に飲食店で働く友人やライブハウスをやっている友人たちが、お店を開けられず悶々とした日々を過ごしていて、そんな時に「しばらく使っていなかった土地を使っていいよ」という方がいらして、友人知人で竹林を開墾して畑を始めました。肥料や苗以外はほとんどお金をかけずに始めています。これ自体が仕事というわけではありませんが、人と人とのつながりで始まった取り組みです。

Marc Coffeeカセットテープ

―何かにとらわれることなく、求められる場所で自分らしさを貫くような仕事の仕方は、これからの新しい働き方として、多くの方の参考になりそうです。今後の展望はありますか?

なんでもやってきて「何屋さんなの?」と言われることが多いので、何か一つ形にしたいなと思っています。例えば、コーヒーも「どこに行ったら買えるの?飲めるの?」という問い合わせが多いので、焙煎所とデザイン事務所を兼ねた拠点をもつなど、考えてみたいなぁと思っています。

生活に馴染む心地よいものを身近に

―お住まいのお部屋はとても洗練された雰囲気でまるでお店のようです。置かれている家具や植木、装飾など、どのようにもの選びをされていますか?

何かに特別に影響を受けたというわけではないですが、いわゆる名品と言われるものは長く使っても飽きがこないものが多いですよね。生活の中に馴染むとか、心地いいとかそういった直感的な感じではあります。でも、高いものは買えないし、買っていないんです。まずは、とにかくリサーチするタイプなのですが、例えばリサイクルショップとかネットオークションで手に入れたり。ちなみに、ここにある椅子は座面がボロボロだったんですが、全て剥がして自分で張り替えました。

―こちらの椅子に掛けているブランケットも実は伊織のだとか。

数年前に友人が誕生日にプレゼントしてくれました。膝掛けにも、少し肌寒い時の寝具としてもいいですし、タオル地のブランケットはありそうでないので、とても重宝しています。

―今回、数種類のタオルを実際にお試しいただきましたが、タオルについてこだわりはありますか?

実は、今まで自分でタオルを購入することがほとんどなかったんです。家にあるバスタオルは、愛媛マラソンや四国せいよ朝霧湖マラソンで完走した時にもらったもの。あとは、引き出物やバンドグッズなど、いただいたものを使っていました。

今回試してみた中で、特に使いやすいなと思ったのは『tonari towel』のフェイスタオルです。

―ありがとうございます。こちらは10月にリリースされたばかりの新製品です。タオルをつくる過程でどうしても出てしまう半端な糸、残糸(ざんし)を集めてつくった商品です。これらの糸は、本来はどれも”1種類のタオルを織るためだけ”につくられた専用糸なので、太さも風合いもバラバラ。本来は使い道がなく捨てられるものですが、中にはとても高品質なものが混ざっていたり……。それらに新たな価値を与えて再生する取り組みをしています。

織り方もヘムの部分も個性的ですし、フェイスタオルのサイズ感は家でもスポーツや温泉でも使いやすい万能なサイズ感だと思います。サウナにもよく行くので、これから重宝しそうです。また、色のグラデーションも複雑でいいなと思いました。

―こちらの商品は織ってから色を染めています。残糸のベースカラーや質感が違うものを組み合わせているからこそ、風合いの異なる色味が出て、それがさらに良い味を出しているのだと思います。

『IORINO/やわらか』のバスタオルは、ダントツでふんわりした質感で感激しました。普段、バスタオルはほとんど使わないのですが、包まれた時の質感や吸水性がすごいと思います。ただふんわりしているだけでなく、しっとり感もあって。

―こちらのタオルは「無撚糸」という撚らない綿の糸にバンブーレーヨン(竹繊維)を混合させて織り上げることで、しっとりしなやかな質感を出しています。また、竹繊維が入ることでこのふんわり感を持続させることができるんです。

最初、毛足の長いタオルは毛羽が出たり、デリケートで取り扱いが難しいのではないかと思っていましたが、使用前に数回別洗いをしたり、一緒に洗うものを少し気遣うだけで気持ちよく使えることを知りました。これから寒くなってくるので、重宝しそうです。

―『IORINO/がっしり』のハンドタオルはいかがでしたか?

ボリュームのある質感としっかりした肌触りで、よく水気を吸収してくれるな、といった印象です。ハンドタオルのサイズは普段、ほとんど使用することがなかったので新鮮でした。手洗いやキッチンなど、水を使って何度も手を拭くシーンで活躍してくれるのではないかと思います。

ちなみに、以前から愛用しているこちらの『PLAIN PLAID』シリーズも水をよく吸ってくれて乾燥も早いので、キッチン周りで重宝しています。見た目が特徴的で、ワッフル状に凹凸があるのですが、ガシガシ使ってもへたれないですし、想像以上に機能的だなという印象です。

先の話になりますが、しっかりした生地の『IORINO/がっしり』のハンドタオルは、使い込んで役目を終えそうになったら、エスプレッソマシンのフォーマーを拭いたりするのに良さそうだな、とイメージしています。まだまだもったいないですが。笑

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デザインやコラボレーションが得意な河野さん。もしオリジナルタオルをつくるなら? と尋ねると、意外にも「デザインより素材や質感にこだわるかも」とのこと。以前、コーヒー染めでスウェットパーカーを作ったことがあったそうですが、色の出し方がとても難しかったそう。アップサイクル商品にも興味津々でした。仕事や趣味を通じてつながる仲間を大切に、様々な刺激を自分のものとして仕事につなげていく。どんな展開が待ち受けているのか、これからのご活躍がとても楽しみです。

(2023年10月取材)


=プロフィール=

河野雅行(こうのまさゆき)

1981年愛媛県宇和島市出身。豆の焙煎からパッケージデザイン、出店まで手がける「Marc Coffee Roasters」を主宰。マラソン、ボルダリング、登山から植物、家具のリペアまで趣味の守備範囲は広い。


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