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暮らしを楽しむ 人とタオル|#007 矢野 美由紀さん (愛媛民藝館 主任)

 

#人とタオル #INTERVIEW #特集 #読み物

 
暮らしを楽しむ人とタオル#007矢野美由紀

伊織の活動を通じて出会った人たちや、私たちが「会いたい」と思った方々に、タオルを持って会いに行くインタビュー企画。

第7回は、愛媛県西条市にある「愛媛民藝館」主任の矢野美由紀さん。
かつてご自身で運営していたクラフトショップでの経験を活かして、現在は愛媛民藝館の企画運営に携わっていらっしゃいます。

伊織のタオルを使うのは初めてという矢野さんに、今回はタオルを選ぶところからお願いしてみました。

前半はタオルについて、後半は民藝館での矢野さんの活動について、伺ったお話をまとめました。


※矢野さんセレクトのタオル:waffle、umi、LIFE、kaze、somaru

 

暮らしを楽しむ 人とタオル

#007 矢野美由紀 愛媛民藝館 主任

インタビュー・テキスト:森香奈子/撮影:森川誠治

はじめての伊織タオル。

− はじめての伊織タオル。今回それぞれのタオルをお選びいただいた決め手はなんですか?

色やデザインの好みはもちろんありますが、決め手はやっぱり肌ざわりですね。シーンごとに「このぐらいの柔らかさや厚みがいい」という理想があったので、今回は台所とお風呂場で使う想定で選びました。

− ではまず台所で使うタオルの理想について教えてください。

乾きやすくて、柔らかいもの。でも、あまりふわふわしていないほうが好きかな。台所は作業する場所なので、ちゃんと丈夫さも感じられるものがいいですね。

それでwaffleのハンドタオル と umi のフェイスタオル を選んだのですが、実際に使ってみて waffleは想像以上によかったです。初めてこういうワッフル織りのタオルを使ったのですが、しっかりしているけど肌あたりが柔らかいし、食器を拭いてもよく乾くし。umi はお手拭き用として使っています。

− 台所よりも肌に触れることが多いお風呂場で使うタオル選びでは、何を重要視して選びましたか?

とにかく柔らかいものがいいなと。やっぱりお風呂上がりはふんわり包み込まれたいし、癒されたい(笑)。

− 今回、LIFEkazeのスリムバスタオルをお選びいただきましたが(事前アンケートにて)ずっとこんなサイズがあればいいなと思っていたとか!

大きなバスタオルは包まれる安心感があるんですけど、やっぱりお洗濯のことを考えると大きすぎるから、小さなバスタオルってないのかなと思っていて。今回初めてスリムバスタオルサイズ(フェイスタオルの幅で、バスタオルの長さ)を使いましたが、拭くのにも干すのにも私にはちょうどいいサイズでした。髪が長かった頃は、フェイスタオルサイズを髪用・身体用と2枚使っていたのですが、これなら全身1枚で完結するなと思いました。
私の中では、ふんわり感のあるLIFEが一番しっくりきましたね。持ち運びをするときは、kaze のような薄手タイプが重宝しそう。

▲ (上から)kazeLIFE
▲ somaruのフェイスタオルは洗面所で使用。「程よい厚みでがっしり拭ける。今回、個性の違うタオルを使い比べてみて、自分はある程度厚みのあるタオルのほうが好きなんだなと気付きました。」(矢野さん)

− ご自宅のお洗濯環境を教えてください。

洗濯機は縦型で、乾燥機はありません。うちは北側に物干しスペースがあるのですが、洗濯する日は朝出勤前に洗って干して出ると乾いているので、夜に取り込んでいます。冬の時期に帰るのが遅くなると、帰宅する頃には洗濯物が冷たくなっていたりしますが、そういうときはヒーターの前で乾かしたり。以前はコインランドリーも使っていたけど、今はできるだけ天気をチェックして晴れた日に干すようにしているので、あまり使わなくなりましたね。

洗剤は、できる限り環境にいいものを選びたいので、天然成分の石鹸を使うようにしています。でも汚れがひどいものは漂白剤を使ったり、程度に合わせて使い分けることもあります。

− タオルはどのように収納していますか?

ひとつのクリアボックスにまとめて収納していて、使うたびにそこから取り出しています。みなさんそれぞれ使う場所に、綺麗に陳列されているのかもしれないですが、私は持っている枚数も10枚程だし、一人暮らしだからそのほうが楽ですね。

正直、今回の取材を受けるにあたり、初めてタオルに意識を向けました(笑)。

− 改めて矢野さんにとって、タオルとはどのような存在だと感じましたか?

無意識で気持ちよく使えているってすごいなと思いました。ペンとかも書きやすいと自然にそればかり使ってしまうじゃないですか。変な違和感がないというか。いい意味で「無」になってくれるものですね。

 

愛媛民藝館での活動について。

− 愛媛民藝館のことと、普段の活動について教えてください。

愛媛民藝館は昭和42年に設立されて、今年で55年になります。当時は主に経済人や文化人の社交場として親しまれていたようです。私が(お客さんとして)出入りし始めたのはここ10年ぐらいなんですけど、時代とともにだんだん来館者が減少しているという話を聞いて。なにかできないかという思いから、一昨年に友人たちと「みんげい蚤の市」というイベントを民藝館で企画させてもらったのがご縁で、本格的にスタッフとして働くこととなりました。

 

手から手へ、人から人へ繋げるためにできること。

愛媛民藝館は、「水の都」と呼ばれる愛媛県西条市の中心部、堀端(旧西条藩陣屋跡)の中というとても気持ちいい場所にあるんですけど、高校と隣接しているので、地元の人も「お堀の中には学校しかないでしょ?」と思っている人も多く、あまり人が流れてくる場所ではなかったようで。まずは知ってもらう活動が必要だと思いました。

蚤の市を企画したのも、敷居の高いイメージを払拭して、「まずは一度きてほしい」という思いがありました。一度足を運んでもらったらまた来てもらえるような場所だと思っていたので、イベント企画と並行してSNS発信も始めて、きっかけづくりに取り組みました。ありがたいことにメディアに取り上げていただく機会も増えてきて、おかげさまで昨年度は来場者数が過去最高となりました。今年度は別のスタッフが担当していますが、SNSをきっかけに、若い世代(30〜40代)の来館者が増えたのは嬉しい変化ですね。

働く人がそれぞれに想いを持ち、精一杯取り組むことで、やりがいや達成感も生まれ、少しずつ流れが変わってきていると思います。積極的にチャレンジさせてもらえる職場の環境もありがたいですし、そうした活動を支えてくださる方や地域の方の存在にいつも助けられています。

▲ SNSをきっかけに、建築に興味のある若者が建物を見に訪ねてくることも多いとか。50年前に造られたままの姿を残す館内には、細かな職人の仕事が随所に光り、現代では新たに作り出せない空気も感じられる
▲ 「愛媛って他にも古くていい建物が結構残っていて。でもそういったものに注目しないと、どんどん取り壊されていっちゃう。価値あるものをつないでいくためにも、内部から発信して知ってもらわないと、と思っています。」(矢野さん)

民藝との出会いは、ひとつの湯呑みから。

− 昔から民藝や手仕事の世界がお好きだったのですか?

昔から雑貨が好きだったのですが、手仕事の世界に興味を持ち始めたのは20代半ばですね。当時松山市のとあるギャラリーで、やちむん(沖縄の焼物)の展示即売会をしていたんですね。ふらりと立ち寄ると、ちょうど作り手さんがいらっしゃる日で、商品の説明をとても丁寧にしてくださって。値段を見てみたら、湯呑みがひとつ800円ぐらいだったので、「(当時OLの)私でも買える!」となって、思わず他の器もいくつか買って帰ったんですよ。

▲ 矢野さんと手仕事の世界を引き合わせたのは、沖縄・読谷山焼北窯 松田米司さんの作品。

帰ってさっそく湯呑みでお茶を飲んでみると、とても手に馴染むし、すごく使い勝手がいいんですよね。「これは一体なんだ!」とすごく感動して、自分の中でモノ選びに対してクラッシュが起きたというか。

色々と調べていくうちに、それはいわゆる「民藝」に通じるものだとわかりました。使い手のためを思って作り手がつくるから、持った感じ触り心地もいい。全国には、地元の土を使って、職人が黙々と作り続けている素晴らしい手仕事が残っているんですよね。そこから一気に没頭して、会社の休みを利用しては産地や窯元を巡るようになりました。

 

▲ご自宅には、これまで少しずつ収集した手仕事・民藝品、矢野さんの好きなものたちがいたるところに。

「ゆっくり過ごせる場所をつくりたい」と

自分でお店を始めてからは、全国を巡って出会った作り手さんとお取引をさせていただきました。現地に行くと、作り手さんの声を生で聞くことができるし、安心感があるし、自分の目で一度見ているからお客さんにも自信をもってすすめられました。お店で興味を持ってくれたお客さんたちにお話しすると、共感して選んでくださったのがうれしかったです。

− 今は民藝館のスタッフとして、作り手さんとの関わり方は変わりましたか?

愛媛民藝館の大きな特徴として、企画展示だけでなく展示即売会も行なっています。他県の民藝館では基本的に企画展示のみなのですが、ここは土地柄、お店が少ないということもあって、作り手さんから使い手さんへの橋渡しの場所も兼ねていたようです。民藝館としての役割や、民藝館だからできる仕事の重みを感じながらも、その環境を活かして、展示と販売の両面から手仕事を伝えていきたいと思います。

民藝ブームは終わらない。

− これからの目標を教えてください。

ここ数年は震災やコロナ禍をきっかけに、暮らし方や家の中を見つめ直す人がとくに増えていることも理由のひとつかと思いますが、これは一過性のブームではなく、きっと続いていく価値観だと思っていて。

ものの背景にあるストーリーに視点を向けるようになったり、暮らしをデザインする若者が増えてきた今だからこそ、民藝の魅力、そして民藝館も、私たちの発信の仕方次第でつないでいけるんじゃないかという明るい期待を持っています。これまで支えてくださった方々も高齢になりつつあるんですけど、そういった方々にもずっと来ていただきたいですし、新しい30代・40代の人たちも気軽に飛び込んでこれるような開かれた民藝館にできたらいいなと思っています。

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2022年は企画展や即売会でモノを売るだけでなく、金継ぎワークショップなどの体験を通して「手元にあるものを大切に使い続けること」も伝えていきたいとのこと。

民藝とタオル。ジャンルは違えど、自分たちがモノの物語や背景を伝えていくことで、納得して選んでもらえる機会が増えたら、それは使い手さんだけでなく、私たちにとっても嬉しいこと。

日用品が愛用品になって、最後まで愛着をもって使い続けてもらえるよう、私たちも手から手へ、しっかりと届ける活動をしたいと思いました。


=プロフィール=

矢野 美由紀(愛媛民藝館 主任)

愛媛県松山市出身。2020年4月より愛媛民藝館の職員として働く。


愛媛民藝館

愛媛県西条市の中心地、旧陣屋跡のお堀に囲まれた一面に建つ土蔵造りの愛媛民藝館は、各地の古民藝など総数2000点を所蔵しています。

https://ehimemingeikan.jp/

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