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繊維から糸へ

繊維とは細くて長いものを指します。糸とは織物や編み物を作る際の繊維の束です。糸を織り込んでいって布や布状の製品を作るのですね。その繊維は、長さによって2つに分類されます。
まず短いもの、木綿や羊毛のようなわた状の、2~3cm程度のものを短繊維(ステープル、StapleFiber)と呼びます。長いものを長繊維(フィラメント、FilamentYarn)といいます。ラテン語のfilum(糸)が由来とのことです。天然繊維は絹を除いて基本は短いステープルです。一方、化学繊維は長さを自由に決められますのでフィラメントとして作られます。もちろん用途に応じてステープルとすることもできます。
繊維はそのままでは実用性が限られますので、束ねて糸にします。タオルに使うタテ糸、ヨコ糸、パイル糸などはステープルを束ねた糸で出来ていますね。つめ綿、カーペットなどではステープルのまま使われますが、通常は紡績により糸(紡績糸)として使用されます。フィラメントも束ねて糸にします。マルチフィラメントとよばれますが、数十本を撚り束ねることで長いフィラメント糸が出来ます。例外として、魚網やテグス(釣り糸)のように、一本のフィラメントをそのまま使う場合もあり、それはモノフィラメントと呼ばれています。
糸のサンプル
ステープルを束ねて糸にする工程が紡績です。ステープルは収穫したときはてんでばらばらです。それをほぐして同じ方向に揃え、撚りをかけながら束ねて糸にするのですね。その際に生まれる空間や毛羽などが、かさ高性を示し、やわらかさや空気を含んでの保温性を生み出します。逆にフィラメントは、できたときはどこまでも真っ直ぐな繊維ですので、衣類などに使うには適しません。そこでわざと縮れた状態、くしゃくしゃにした状態にしてあげて束ねるのです。この縮れたような捲縮性を与えるのが仮撚加工で、かさ高性と伸縮性、および弾力性を糸に持たせことでようやく布地への利用が可能になるのですね。ポリエステルなどの長繊維は多くの場合このような工程を経て、綿織物や毛織物のような使い勝手のいい衣類となるのです。