織物の用語集(は行)

媒染剤
草木染めなど、植物染料の多くが媒染剤を用いて染色します。媒染剤は繊維に染料を固着させる役割を担います。物質媒染剤を使用して始めて繊維に固着し、濃く染まり、色落ちしにくくなります。ウコンやキハダなど媒染を要しない例外もあるが、天然染料の多くは媒染が必要です。媒染剤を変えることで、違う色に染めることもできます。草木染めはエコロジーなイメージがありますが、媒染剤の中にはアルミニウム・クロム・鉄などの金属塩やタンニン酸などが用いられており、廃液処理の問題等を考慮すると、一概に自然にやさしいとは言い難い面もあります。


撥水(はっすい)加工
撥水加工とはシリコン樹脂、フッ素樹脂などを用いて、繊維を疎水性にすることにより水をはじく性質をもたせる加工です。防水加工とは異なります。防水加工は表面を隙間なく覆いますので完全に水を弾きますが、体から発散される水分や湿った空気は出ることができないために内部が蒸れてくるのが欠点です。撥水加工は繊維の表面にコーティングしますが、そこには微細な隙間があるので表皮から発散される水分のうち粒子の細かいものや空気は隙間から衣類の外へ排出されるので比較的に蒸れにくくなっています。ただ、細かい霧雨や強い水圧がかかった場合などにはどうしても水は浸透してしまいます。薬剤と繊維を化学結合させ撥水効果を出す方法で使用する薬剤は、シリコン、樹脂ワックス、フッ素系化合物などがあります。防水加工が水滴を通さない加工とすると、撥水加工は水を弾く加工といえます。撥水加工は、磨耗や紫外線などの影響で徐々に効果は低下していきます。撥水効果が低下した場合は、市販の撥水スプレーなどで簡単に蘇らせることはできます。


抜染(ばっせん)
あらかじめ生地全体を染色し、抜染剤(色を抜き取る薬剤)をプリントします。抜染剤が作用したところだけが白い模様になるプリント方法です。元の生地色を脱色するので、生地の風合いを損なわない、柔らかな仕上がりになります。濃色生地に染み込んだような模様を浮かび上がらせたい場合は簡易抜染で、本抜染と呼ばれる蒸し工程をはさむとよりやわらかく、ダイナミックではっきりとした仕上がりになります。水墨画のような柄のシャツの多くは抜染でデザインを表現しています。


引き裂き強度
布地の引き裂きに対する強さです。織物の場合、たて方向に引き裂く時の強さとよこ方向に引き裂く時の強さがあるが、一般によこ方向のほうが引き裂き強度が大きく、すなわち、たて方向に引き裂けやすいということになります。伸縮性のあるニット生地では一般に引き裂き強度は強いです。今治タオル認定試験でも強度試験が行われます。


平織り
織物の中で最も簡単な組織で、経糸と緯糸が1本ずつ交互に浮き沈しながら交わっています。ブロード、オックスフォード、ボイル、ネル、金巾、帆布、パナマ、ホップサックなどすべて平織りです。丈夫で摩擦に強く、織り方も簡単なため、広く応用されています。逆に、なめらかであったり光沢感をもった織物を作る場合は他の織り方が選ばれます。糸の種類、太さ、密度、撚 (よ) りの強弱によって種々の外見の異なる織物ができ、同時に厚みや風合いも変化させる事ができるので、用途にあわせて自由に設計する事が可能です。


フェルト
ウール等の獣毛は湿らせて揉むんだり圧力を掛けると、繊維表面のキューティクルが互いに絡まって、固まりになる性質があり、これを利用して薄く板状に圧縮して作るシート状製品の総称がフェルトです。性質としては、引っ張りや摩擦に対する抵抗力は比較的弱いが、保温力、衝撃の緩和、音の吸収などに優れますので、そのような機能が必要な用途に用いられます。他にも、敷物やスリッパなど幅広く用いられてます。フェルト製の帽子としてソフトハットやベレー帽があります。いったん毛織物に織ったものを通常のフェルト(圧縮フェルト)状になるまで縮絨したものを織フェルトと呼び、これは圧縮フェルトに比べて、引っ張りや摩擦に比較的抵抗力があります。


不織布(ふしょくふ、non-wovenfabric)
織物にも編物にも属さない布のことです。通常、布などは繊維を撚って糸にしたものを織っているが、不織布は繊維を熱や機械的または化学的な作用によって接着または絡み合わせる事で布にしたものを指します。1920年代にドイツのフェルト業者が毛屑や紡毛などを接着剤で固めてフェルトの代用品をつくったのが不織布の始まりです。その後開発される合成繊維や合成ゴムの材料を応用して、今日の不織布と同じようなものがつくられ始めました。不織布はポーラス(多孔質)構造であり、通気性、ろ過性、保温性などの特性をもちます。加えて、目的や用途に合わせてこの特長を引き出して機能を高めたり、多様な原料や製法の組み合わせによって作られる自由さがあります。布や綿状などさまざまな形状にしたり、しなやかなものから強靭なものまでつくることができます。既存の織物や編物の枠を超えて自在に作れることが特徴といえます。


部分整経機
整経は、必要な本数の経糸を、長さを揃えてビームに巻き付ける工程です。整経の方法としては、荒巻整経による方法と部分整経による方法があります。そのうち部分整経はストライプ柄を織る際や、生産ロットの少ない織物に用いられる方法で、荒巻整経では大変な量の糸と場所をとりますので、その場合は部分整経機をつかい、ドラムに巻き取った後に、織布工程のビームに巻き返します。


フランネル
フランネルは柔らかく軽い毛織物のことで、略してネルともいいます。経糸は通常20番単糸もしくは30番単糸、緯糸は経糸より太い8番手から20番手が使用され、平織りもしくは綾織りで織られます。起毛による保温性のよさ、綿自体が持つ吸湿性が特長で、冬用のシャツ、パジャマ、ベビー衣料品などに好んで使用されます。フラノはやや厚手のフランネルのことです。


フロッキープリント
フロッキープリントとはシルクスクリーンや吹き付けなどの方法で樹脂の層を生地や植毛対象物に作り、その樹脂に向けて静電気を帯電させた短くカットされた繊維を垂直に差し込む加工です。静電気を利用した電気植毛法で、方向性をもってきれいに繊維が立って接着されるのが特徴です。素材も綿、ポリエステルやレーヨンなど様々な種類があり、ベルベット調の手触りになります。


ブロード
元はウール100%の織物で緻密に織られているため高い強度を持つのが特徴です。組織としては、経緯に30から50番の単糸もしくは60番双糸以上を使用した平織りです。経糸密度が緯糸密度のほぼ倍、縮絨によってフェルトとなり、表面が滑らかになりドレープ性にすぐれます。ドレスシャツやブラウスなどに使用されています。


別珍(ベッチン)
綿ビロードとも呼ばれる、綿を横ビロード織りしたパイル織物の一つです。地組織の上に規則的に緯糸を浮かせて織り上げたのち、パイルを中ほどでカットして織物表面全体に毛羽立たせたもので、コーデュロイ(コール天)と同じ製法ですがこちらは畝がありません。毛緯と呼ばれる緯糸を特殊なナイフでカットして、毛羽をつくります。保温性が高く秋冬の素材として広く使用されます。ベルベットと比較すると、毛羽が短く光沢もやや劣ります。カジュアルなテイストがあり、ベルベットよりは安価のため、ジャケットやパンツ、スカートなどに使用されています。衣料品以外では、カーテンやクッションにも使われています。


ベルベット

別珍、ベロア、ベルベットは、どれもが立毛品で優雅な光沢をもち、すぐには区別がつきません。製造方法もそれぞれに異なります。二重織りで2枚の生地をサンドイッチ状に重ねて織り、繋がっている糸をカットして2枚のベルベットをつくります。ビロードとも呼ばれます。別珍と比較して、経糸が多い生地組織であるためベルベットの方がドレープ性が高く光沢に富んでいます。そのためドレスやカーテンなどの用途に用いられています。素材はレーヨンやシルクが一般的です。縫いずれし易く、きれいに縫製するには高度な技術が必要で必然的に高価になります。


防炎規制(ほうえんさせい)
火災を防ぐため消防法により、不特定多数の人が出入りする施設、高層建築物、地下街、高齢者福祉施設等の中で使われる繊維製品は、防炎性のものでなければならないと決められています。具体的にはカーテン、じゅうたんなどで、防炎性能を持つ「防炎物品」の使用が義務付けられています。防炎性能は外見では確認することができないため、防炎物品とそうでない物品とを容易に判別するために、基準以上の防炎性を保持した製品は、日本防炎協会より発行される「防炎」ラベルがつけられています。


防縮加工(ぼうしゅくかこう)
織物などの収縮を防止するための加工です。衣類に防縮加工を施す場合は、縫製工程より前段階、生地の生産工程で行われるます。湿気を与えて緩和収縮を行う方法や、化学繊維の場合は、熱可塑性を利用して高熱で処理し熱固定をする方法があります。とりわけお洗濯で縮みやすいウールの場合は、
スケールのとがった先端を化学的に処理して溶かし丸める方法や、樹脂の皮膜のようなものでカバーする方法があります。それによって洗濯してもスケールのからみ合いはなくなり、ウール特有のフェルト化を小さくすることができます。


防しわ性(ほうしわせい)
繊維がしわになりやすいかどうかという性質のことです。布にしわがよりにくくなるようにする加工をいい、かつては防しゅう(皺)加工ともいわれました。天然繊維は合成繊維に比べて一般にしわがよりやすいが、天然繊維の中でも大きな差があります。羊毛はしわが最もよりにくく、絹がこれに次ぎ、逆に綿はしわがよりやすく、麻はさらにしわがよります。これに対して、合成繊維は常温では極めてしわがよりにくく、なかでもポリエステルが最もよりにくい。防しわ、防縮性能を目的とした加工は、綿やレーヨンの織編物の多く用いられます。


防染(ぼうせん)
布の染色法の一種で、布の上に防染糊で模様を描いておき、染液に浸して、糊の部分を白く残す染め方です。防染の染方法には大きく分けて2つあり、模様が白く残る白色抜染は、予め残す柄を防染剤でプリントして、染料が染み込まないようにしてから全体を染める方法と、防染剤に染料を染み込ませることで2色の柄を生む着色抜染があります。古くからある絞り染め、ろう染めも防染の一つです。


保温性
空気は熱を伝えにくい物質のため、一般的に空気を多く含む生地は保温性が高くなる傾向があります。衣服(特に冬物)は保温性の大きいものが好まれます。特に毛織物や起毛加工したふっくら厚みのある織物は空気を含みやすいので保温性は良好です。一方、通気性が小さい布地の方が、温かい空気を逃がさないため、保温性が保たれます。そのため、肌に近い肌着などは、空気をよく含む素材で、かつ外側への通気性の小さな素材ですと、保温性が大きくなります。


ポプリン
イギリスでのブロードの呼び方です。明確な区別はありませんが、日本では畝が太いほうをポプリン、小さいほうをブロードと呼び分けています。ブロードよりやや太い糸使いのものや、経より緯に太い糸を使う場合があります。ブロードと同様に経糸の密度を緯糸の2~3倍にした、横方向にうねのある平織物です。ワイシャツ・婦人子供服・カーテンなどに用いられます。