繊維の用語集(は行)

バイオ加工(酵素減量加工)

繊維加工におけるセルラーゼの利用を通称バイオ加工とよび、綿や麻などのセルロース系繊維の改質に使われます。セルロース繊維の風合いを柔らかくする目的で綿の減量を図る加工が特に有名です。 微生物を含むバイオ溶液に布地を浸すことによって数%減量することで素材を柔らかくでき、織物、ニットに関わらず製品すべてに適応できるため、今や世界中で綿の定番加工になりました。セルロースの分解のレベルをもっと下げて、生地表面の毛羽のみを酵素に食べさせることで、毛羽の少ない光沢のある生地を作る目的で使用する毛羽取り加工もあります。またジーンズなどの洗い加工の一つとして部分的にインディゴ染料を落とす意図で行われるワッシャー加工でもベルラーゼという酵素と石片を入れてドラムを回転させ、ジーンズの表面を磨耗させて、デニムの糸の中心部の白いところを露出させるバイオウォッシュ加工も普及しています。


半合成繊維
半合成繊維とは、セルロースなどの天然の高分子物質を化学的に処理してエステルなどの形に変え、繊維にしたもので、合成繊維と再生繊維の中間的なものです。天然素材を原料として化学的に反応させた繊維で、木材パルプを原料にして酢酸と反応させて溶かし有機溶液として紡出するアセテート、牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)を原料にアクリロニトリルと塩化亜鉛水溶液中でグラフト重合させて紡出されたプロミックスなどがあります。


ビニロン

ビニロンはポリビニルアルコールの繊維のことで、1950年に日本で開発されたものです。綿に似た風合いの繊維で、以前は学生服や婦人下着などに使用されていたが、現在は主に産業資材として使用されています。特にアスベスト(石綿)の代替材料として安全で強度も強いビニロン短繊維が使用されています。その他の用途としては、ロープ、海苔網、ゴムやプラスチックの補強繊維などが挙げられます。水溶性ビニロンと呼ばれる、水に溶ける珍しい性質を持った繊維もあり、これは他の繊維と一緒に用いて、水溶性ビニロンを溶かして、新しい風合いを持った生地を作り出せるものです。この水溶性という素質から、タオル業界では中空糸を作る際などに用いられます。


ビリング

ビリングは編み地や布地の表面の摩擦により、繊維がからみあって毛玉(ビル)ができることを指します。毛玉そのものを指す場合もあります。衣料品は着用時にいろいろな摩擦作用を受け、その摩擦によって表面に毛玉を発生させます。天然繊維でも発生しますが、繊維自体が弱く、すぐ脱落(毛羽落ち)するため、主に合成繊維の衣料品で発生します。毛玉は摩擦によって繊維が引き出され、からみあう現象だが、合成繊維は強度が強く容易に脱落しないので、多くの毛玉が残り製品の品位を低下させてしまいます。


プロミックス(シノン)

プロミックスは半合成繊維のひとつで、1970年代に日本の東洋紡で開発されました。牛乳の中に含まれているミルク繊維を使って作られた生地のことを指します。動物性たんぱく質(ミルクガゼイン)を重量ベースで30~60%と、アクリル繊維の原料となるアクリルニトリルを結合して作られます。このプロミックスは、絹に近い繊維構造を持つため、光沢が滑らかで美しいといった特徴も持っています。風合いや手触りも絹のような上質で、高級素材として扱われます。吸湿性なども素晴らしく、様々な色に染めやすいため、セーターやスカーフなど様々な製品が作られています。


経通し

経通しとは、経糸を一本一本、織機に通していく工程です。筬とリード、ドロッパーに1本ずつ通しますが非常に細かい作業であり、多くの現場ではまだ機械化が進んでおらず、数千本のタテ糸を手作業にて通していきます。


紡毛(ぼうもう)

細くて毛羽の少ない糸は梳毛とよばれ、表面がフアフアとして毛羽立った太い糸が紡毛です。対の意味で使われます。紡毛は粗雑で短い羊毛繊維を主体としており、梳毛糸に比べ太く表面の毛羽が多いが、柔らかくて起毛しやすく保温性に富んだ糸です。リング糸とミュール糸の2種類があり、太さは均一でなく撚りは少し甘いです。


ポリウレタン

ポリウレタンは日常生活のあらゆるシーンで使用されている素材で、衣料品での利用が一番身近に知られています。他にも靴、カバンといった合成皮革を用いる製品に使われています。もとは天然ゴムの代替品として開発された合成ゴムの一種類です。非常に高い伸縮性を持っており、元の状態の5~8倍も伸びるとされています。ゴム以上の強度があるため加工がしやすく、衣類にポリウレタンがよく使われるのもこの伸縮性と強度が理由です。合成皮革で出来たコートや、伸縮性の優れたストレッチ製品やスポーツウェアなども当てはまります。また、他の繊維と比較して軽いという特徴も持っています。そのため軽量化が求められる靴やカバンで用いられます。特性としては耐摩耗性、耐油性が高いことです。スパンデックスはこのポリウレタンの伸縮性に極めて優れることと、混紡率が低くても特性を失わない特長を生かして、様々な繊維との組み合せたポリウレタン弾性繊維の一般名称です。欠点としては劣化が早い点で、経時劣化を防いだり、遅らせたりする加工がされるとはいえ、ひび割れのような状態になってしまうのが、劣化してしまったポリウレタン製品の特徴です。


ポリエステル

ナイロン、アクリルと並ぶ3大合成繊維のなかでポリエステルがもっとも多く使用されています。ポリエステルは1941年に誕生した合成繊維の一種で耐久性の高さからペットボトルなど日常のあらゆる場面で使われます。石油由来の物質であり、もとは麻や綿に似せて開発されたものでした。製造技術の進化とともに、様々な用途に派生しており、繊維や布、容器などに応用されます。繊維としては吸湿性が低く静電気が起きやすい欠点もあるが、速乾性に優れており、毛細管現象を利用して水分、汗を移動させる事で吸汗速乾素材として重用されます。綿、ウールなど多くの素材と混紡もしくは交織して使用されて衣料品に用いられます。断面が丸ではない異形断面やマイクロファイバーと呼ばれる極細繊維など、ポリエステルには非常多くの種類があります。


ポリノジック

ポリノジックはレーヨンと同じように木材パルプを使用して作られた再生繊維です。高純度パルプを使用し、結晶化度を上げて、綿により近い強度を持たせています。日本で研究、改良された改質レーヨン繊維で、断面が円形になっており、水で縮むレーヨンの欠点を抑えています。ポリノジックには絹に近い光沢があるので、ポリノジックを使った衣類からは高級感がにじみでます。弾力性にも優れ熱に強い、耐久性のある素材ですが、水に弱い点は多少残り、しわになりやすいのが欠点です。